L.A.最終話~マッカッカ帰国
車を運転し
レッスンを受け
病院に通い
おいしい物を食べ
くだらないTV番組を観て笑い
さわやかな風を感じ
強い日差しに目を細め
海やパームツリーを眺め
いろんな人達と出会い
そしてついに帰国するときがきた。
あんなに日本に帰りたかったのに
いざ帰るとなると
不思議と帰りたくない。
お世話になった方々にお礼とお別れの挨拶をし、
アパートに入居した時に購入した家具を
渡米してきた日本人に譲り、
来るときに持ってきた大きなトランクに
荷物を詰め込んだ。
アパートはでんぐり返しが
5回もできそうな広さに戻った。
来たときと同じ
大きなトランクとデカバッグひとつで
わたしは日本に帰る。
帰国日、早めに部屋を出て
アパートの敷地内を散歩した。
10月になって少し肌寒くなっても
大きなパームツリーの葉っぱは
まだ青々としてた。
管理事務所で鍵を返し、
リースの車を返しに行く。
相変わらずL.A.の高速道路はガタガタで
みんな強気の運転。
あはは。
そういえば、いつの間にか
わたしもすっかりL.A.式の運転になってる。
空港へ着き
お土産やら新しい洋服やらで、来るときよりも
重たくなっているトランクを預けるため
カウンターへ。
んぬ?
なんと重量オーバーだから乗せられないと。
35KG。(だったかな?)
タハ。
それじゃなかなか持ち上げられなかったはずだ。
無理やり蓋を閉めるためにトランクの上に乗っかって
ぐるぐる巻きにしたガムテープを
カウンターの隅っこの方でベリベリ剥がす。
蓋が開いた途端に中身がボロボロ飛びだして
恥ずかしいことこの上ない。
ちぇ。せっかくおセンチな気持ちで帰りたかったのに。
仕方ないので
トランクの中にある荷物の中で一番重たい
ノートパソコンを手荷物にする事にした。
そして顔をマッカッカにしてトランクの上にまたがり
元通りに蓋を閉め、ちょっとくしゃくしゃになった
ガムテープを再びぐるぐる巻きつけた。
トランクは無事預けられたけど
手荷物が増えてしまった。
最後にロサンゼルスを感じきるのだ、と
重たい荷物に背中を丸めながらも
意味なく空港内をうろうろした。
そして
何の実感もわかないまま
日本に戻ってきた。
久々の日本はムシムシしていた。
成田空港に到着し、預けたトランクを引き取るべく
レーンに流れてくるであろう自分のトランクを
探していたら
なんと隣に
「ふたりっこ」で有名になった双子の姉妹
「マナ&カナ」がいた。
おぅっ芸能人じゃ芸能人じゃ
とミーハーっていたら
私のトランクがいつの間にか目の前に。
よし。
と思ってレーンから下ろそうと思ったら・・・
重たくて下ろせない・・・。
「逃してなるものか!」と
再び顔をマッカッカにして
必死でトランクを引きずりおろした。
だってさ
トランクの中にはひとつだけどうしても
なくしたくない物を入れていたのだもの。
ある日、買い物がてらに
ぷらりと入ったサンタモニカの雑貨屋さん。
いろんなアメリカらしいおもちゃが乱雑に
置かれている棚の片隅に置かれていたあの子。
情けない表情でこっちを見てるあの子。
気づいたときには手にとってレジに向かっていた。
アパートでひとりさびしくいる時も
いつもとぼけた顔で
「大丈夫だよ~なんとかなるよ~」と
私の心をほぐしてくれたあの子。
あの子の名前はサンキー。
サンタモニカ生まれのモンキーだからと名づけた
サルのぬいぐるみ。
帰国してから5年経った今も
部屋で毎日私を励ましてくれているサンキー。
L.A.14話(裏)で突然変なナゾナゾとして載せた
あのすっとぼけたヤツ。
ヤツだけが
あの時私がロサンゼルスにいた時の事を
物語っている。
~Fin~
なんて。
こうやってロサンゼルスに行ったときの事を
日記に書いてみて
あぁやっぱりあの時行ってよかったのだな~
と今更ながら思いました。
何か資格を取得したわけでもないし
ムチ打ちになってしまったり
いろいろあったけれど
それ以上に
言葉では表現しきれないような何か大切な物を
たくさん得ることができたと思う。
もいちど初心に戻って
これからをがんばってみようかな。
なんて考えてしまった。
なんだかしまりきらない最終章だけど、
読んでくださったみなさん。
ありがとうございました。
おつかれさまでした。
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この滞在記は2006年2月に
会社をやめてフリーインストラクターになることを
考えていたときに、会社のお昼休みを使って毎日
1話ずつなんとな~く書いていたものです。
(お昼休みに何やってたんだって話ですが 笑)
ありがとうございました。
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